先日遠州の酒蔵さんを妻と2人でドライブがてら尋ねた。仕事半分、遊び半分で出かけた。新幹線掛川駅前の商店街の中に行列のできる「鰻屋」さんがあるとの事で一度食べたかったからである。
何時もそうだが全国の蔵元さんを訪ねる時も、まず地元の食事処を訪ね、
その土地の食を知ってから、その土地の酒の味 を想像する事を実行している。
それは食が有ってその食材や味に地元の酒蔵さんは味を合わせているからである。新規の蔵元さんを訪ねる前には数年その蔵の酒質を見ながら、納得できた酒質になった所でお伺いし取引依頼をお願いする事にしている。
豪快な酒を出している所は太っ腹の杜氏さんが造っているだろうとか、繊細な切れのある酒を飲めば、細やかな気遣いのある杜氏さんが造っているだろうなどと想像し出向くと、まず外れない。
食べ物、飲み物は人が造る物であり、その人成りが味に現れるのは素晴らしい事であり、それが地酒の良いところではないだろうか。
尋ねた蔵元さんは遠州横須賀にある山中酒造で酒名は「葵天下」と言う。
事前に連絡はしてあったので息子さんが出迎えてくれ、挨拶後、蔵の中を案内してくれた、蔵を見る限り古い蔵だが相当量の酒を造っているだろうと想像できたが話を聴くと自分一人で造っていると言う、えーーーー
小さな蔵元さんを訪ねても4人や5人の蔵人がおり、釜屋、糀屋など分担して酒造りを行っているのが普通である。
「全て一人ですか」と聞いてみると、ハイ一人です。父親は高齢で兄がいるのですが兄は腰を痛め、殆ど造りには参加できないので頑張って一人でやっておりますと言う。でも元気な声だったので、頑張っている様子が伺えて此方も嬉しくなった。30台後半の年代かと思われますが、冬の寒い時期に話す相手もいず一人で、もくもくと酒造りに挑戦していると聞くと熱い物がこみ上げてくる。
全国的にも蔵元は減る傾向にある、それは大変な仕事だし、後継者の問題も有るだろう、でもこの蔵には是非頑張ってもらい、美味しい酒を造り続けてもらいたい。
当店にも12月初旬に入荷してきますので是非皆様「葵天下」を応援してあげてください。全国でも静岡の酒は人気のある県で、その静岡から1場の火を消さない為にも応援しなければと思います。
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